独身生活は幸せなのでしょうか。21世紀の先進国に身を追いていれば、生活のために望まない結婚をするケースは少なそうです。結婚は自由意志で、するもしないも本人に任されています。筆者は48年の独身生活を経て結婚しました。結婚して良かった、と思っていますし、悩んでいらしゃるみなさんにも結婚することをお勧めします。

独身貴族というけれど・・・

30代~40代の独身男性は本当に”独身貴族”なのでしょうか。一部の恵まれた境遇の人や、独身主義を公言している人は別として、たいていの独身男性はそうは思っていないでしょう。なぜなら積極的な意思を持って主体的にそうしているわけではないからです。

20代後半~30代にかけ、社内でのポジションが上がり、自分の責任範囲でかなりの仕事ができるようになり、面白くてたまらなくなる。そのため自然と恋愛からは遠ざかっていった人。

仕事は生活の手段と割り切り、趣味の世界、夢の世界に生きながら、金だけはあって生活設計とは無縁の人。

などのタイプとは現実に出会うこともまれではないでしょう。比較的わかりやすい独身貴族風のタイプと言えます。しかし彼らの背後には、ただ何となく独身生活が長くなっただけという大量の煮え切らない層が控えています。まずそうした風まかせの彼らへの分析を加えていきたいと思います。

いい年して独身な人の特徴

彼らが独身でいる原因や背景は一様ではありません。過去そして現在の家庭環境も大きく影響しているでしょう。それに元々男性のタイプには女性より幅があります。女性との個人的関わりを一切絶つ、カトリックの神父や仏教修行者から、その対極にある豪傑まで千差万別です。

ところが女性側は「男なんてみな同じ」という視点でついものを見がちです。本当はタイプ別のケアが必要です。このことは筆者の強調したい点ですから、折に触れ指摘することになります。女性からすれば、「何を面倒な。」と思われるかもしれません。ところが男性はもっと女性とは面倒なもの、と思っています。大きなギャップですね。しかしこれを埋める作業をすることしか、幸福な結婚生活への早道なないと考えています。

国民的俳優の故・高倉健(1931年~2014年)は、江利チエミとの離婚後、再婚はしませんでした。そのことについて聞かれると彼は、「女の人は面倒ですから。」と答えていたそうです。現代ではこの健さんの気分が、結婚したことのない男性たちまで広く覆ってしまっています。

それにはあらゆるタイプを問わず影響を与えた、現代生活の便利さ、画一化が影響しているのは間違いありません。コンビニと外食産業、パソコンとインターネットの発達、さらにスマホはこの便利化の行きついた先、究極のツールといってよいでしょう。

パソコンなどのIT機器は、インプットに応じた結果がアウトプットされます。コンビニエンスストアや外食チェーンでは、どこまでいってもマニュアル通りの接客です。現代人特に男性はこうした状況に安心し切っているのかもしれません。

逆に恋愛などのように、インプット通りのアウトプットが現れないものは、どうしていいのかわからなくなってしまいます。その結果、簡単にストーカーなどのように極端な行動に走ってしまうのでしょう。恋愛にマニュアルはありません。しかし関心を持って臨まなければ恋愛は成就するものでもありません。とりあえずわけのわからない異性の反応を楽しんでみよう、と考えてはどうでしょう。うまくいくかどうかわからない不安や恐怖感を少し解消することになります。

そうした精神を持たない男性は、先述のタイプ分類を超越し、みな似たような外見を呈します。以下それ様子を見てみましょう。女性にとっては研究課題として、男性には手引きとしてとらえていただくとよい思います。

がさつ

恋愛に関心を持たない男性は、がさつ、デリカシーを欠く、というイメージが強いものです。実際にそのような人は多いでしょう。ここでは出身地別に考えてみましょう。東京圏、大阪圏などの大都市出身者ととそうでない人では、がさつの意味合いに違いが出ます。その点も考慮した方が良さそうです。大都市圏にやってきた地方出身者は、何をやっても目立たないという田舎とは違う心地良さに、身をゆだねてしまっている可能性があります。その結果リラックスのし過ぎに見えますが、本来の持ち味とは違っていることもあります。

ただしどちらの場合でも、本来の性格から改善の難しい人と、スイッチが入ればガラッと変わるタイプがあります。後者のタイプは恋愛モード入りしたことが分かりやすく、取り扱いやすいでしょう。

ファッションがだらしない

これは出勤時の靴を注目していればよくわかります。ビジネスシューズまたはビジカジタイプの靴のカカトに注意を向けましょう。磨きやすい靴の前面は手入れしても、カカト側までそれをする独身男性は少ないでしょう。またカカトが斜めに減っている靴も見苦しいものです。無頓着だったのに、これが改善されたとしたら、何らかのきっかけがあったと見られます。恋愛モード入りしているのかもしれません。

服装やファッションについては結構詳しい男性も多いのです。その理由は川下の小売店や川上の原料まで加えると、繊維産業への従事者は、全産業の10%近くを占めるからです。詳しいからといってこざっぱりしている、またファッションに興味があるとは限りません。実は筆者もこのカテゴリーに入ります。ファッションを楽しむような人間ではありませんが、そのくせアース、ミュージック&エコロジーやグローバルワークが好調だとか、レギンスの売上が落ち、パンツの傾向はワイドタイプに向かっているなど、業界の流れだけは妙にわかっています。女性にとってだらしのないようにみえる男から、最新のレディーストレンドの講義を受けるのもしゃくでしょう。これもいろいろタイプの男が存在する一例として挙げておきます。

金遣いが荒い

古今東西を問わず、殺人などの凶悪犯罪者は20代男性が最も多いと決まっているようです。体力はピークで精神は未成熟というアンバランスのなせる業です。パワーのやり場に困り、これはこれでつらいものなのです。特に交際なれしていない男性に対する、ここでの女性のたうっかり一言は絶対に禁物です。分かれの切り出し方も慎重を期すべきです。

しかし20代後半から、恋愛の有無にかかわらず、精神的に落ちついてくのが普通です。理解に苦しむマイナーな趣味に熱中し、金を使いまくっていたのが収まってきた、などの場合です。逆に30代になってさらに趣味にのめりこむような男では、恋愛そして結婚への道は険しいと言わざるを得ません。この年齢で趣味とのという折り合いが付けられないと、不治の病と化してしまいます。この見極めは本人にとっても大切です。さらに生産性のない賭け事や遊びに浪費している連中は論外でしょう。彼らに対する見極めは借金があるかないかになります。

もう出会いを諦めてる

30代になってマイナー趣味への傾斜をさらに深め、貯金はほとんどなしという男たちは、おそらく新しい男女の出会いなど求めていません。誰も俺の邪魔するな、と思っていることでしょう。ただこうしたわかりやすいケースは少なく、大部分はどっちつかずの連中です。よい出会いに恵まれれば結婚したい、などと10年も同じ言葉をオウム返しするばかりで、婚活は何もしていません。

男の30代は自分の本来もっていた性格に磨きがかかっていき、自分の世界に閉じこもるターニングポイントでもあります。それをこじ開けられることを、新しい人生の息吹、つまり救いと感じているか、単に迷惑と感じているか、ここも見極めポイントとなります。

筆者の場合、30才になり1回り下の人間が社会に出て働いているのに接したとき、「うーむ。」とうなって、そろそろ結婚しなければ、という意は強くなりました。しかしそういうテンションの高まっているときに限り、いい相手があらわれません。社内に女子社員は多く、取引先でも女性と接する機会は多く、出会いには比較的恵まれていました。おせっかいな上司もまだ存在していましたし、結婚の意思があっても、それが叶わない環境ではありませんでした。しかしうじうじしているうちに32歳のとき、地方から東京の関連会社への出向となり、環境はすべてリセットされてしまいました。

独身生活のメリット、デメリット

独身生活を享受している、というよりも、結婚生活をイメージできず、ぐずぐずしている男性もたくさん存在しているでしょう。ここでは独身生活のメリットデメリットをそういう人たちにあててみたいと思います。これらは本人次第でどちらにもころびます。つまり一人一人の背景が重要になってきます。

夫婦仲のよい両親を見て育った人には少ないでしょうが、そうでない男性にとって、これはハンデとも言っていいものです。とくに父親不在、兄貴分も不在という環境で育ち、今は一人暮らしをしているという男性はとくに危険です。家庭環境はとても大切です。

20歳前後のころは、家族サービスに努める若い父親を目にすると、俺にあんなことができるのか、と誰しも不安になったりします。しかし父親を見て育った人には、いい悪いは別として、手本があります。例えば「俺は父親のようにならない。」という方針を立てることもできます。父親の影を持たない男性は、すべて手探り状態です。どのように振る舞うのかイメージできません。演技力を欠き、感情が出やすくなります。性格は安定せず、周囲からは気分屋、またはうっとうしいやつ、と見られがちです。以下タイプ別を念頭に置きつつ、さらに項目別に分析を加えてみましょう。

誰にも注意されない

ある程度以上のしっかり者で、考えも目標もはっきりしているなら、誰にも注意されない独身生活は、精神衛生上最も良いコンディションかもしれません。しかし手探りの者には悩みを抱え込みがちになり大きな不安になります。生活をエンジョイしているとは言えないでしょう。ただし長くこの生活を続けていると、どちらのタイプであっても生活はよどんでいくのは避けられません。萎えてくるというか精神の張りを保つのが難しくなってきます。これはデメリットが大きいと思います。

お金は使い放題

これは独身生活の自由を保障する裏付けです。筆者の場合、新しいIT製品が発売されると見境もなくよく買ったものです。現在からみればみなオモチャ以下のものばかりです。しかし最先端のIT生活気分を味い悦に入っていました。またイベントや旅行、飲み会に誘われ、金がないから断る、ということはありませんでした。何しろ交通費も入場料も何もかも1人分でいいわけですから。この間のことを肯定的に評価するならば、自分に積極投資していたとは言えます。また地方人の立場からすれば、東京生活を満喫していたともいえるでしょう。このメリットには大きいものがありました。

時間も使い放題

仕事の責任が増していて忙しく、結婚から遠ざかっている人、趣味の世界に没頭している人は、きっと充実した時間を過ごされているに違いありません。しかし拘束を嫌い自由を貴ぶ独立心の強い人ばかりではありません。そういう人はむしろ時間を持て余しているかも知れません。食べ放題のレストランに行ったのに、あまり食べられず逡巡している感じでしょうか。好き嫌いが固定してしまい、あらゆる面において食わず嫌いの人間になっている可能性があります。これはメリットにする人、デメリットになっている人、真っ二つに分かれそうです。

人間関係が広がらない

長く独身生活を続けていると、同級生など利害関係のない友人たちから次第にお声がかからなくなり、気が付けば交流のある人間は会社関係ばかりであった、ということになりかねません。

そのビジネスシーンでも商談の前後には、家庭や家族の話がよく出ます。これは国内、海外を問いません。そうしたときに独身生活の長い者は、なかなか味わい深い話題を提供できません。すみに追いやられ、実際に口をつむぐことが多くなりがちです。印象が薄くなっていまします。

また高い感性を保持しつつ一人旅を楽しむ、といったことも続かなくなります。いずれにせよこのままでは人間関係は拡がりません。独身生活最大のデメリットと言ってよいでしょう。

周囲においていかれる

普通の人なら、20代のうちに何件かの結婚式に招待され出席した経験を持っているでしょう。そのときどういう感想を持つかは人によりさまざまです。しかし誰にとっても独身生活を揺さぶるビッグイベントに違いありません。やがて周囲の結婚ブームも落ち着きを見せたとき、どう自分を見つめなおすかです。出遅れ感の持続しているうちに何らかの行動を起こさなければなりません。さらに時間が経過するともうどうでもよくなってしまいます。もう親の言うことなど聞く耳を持たなくなっているでしょうから、周囲の人が影響を及ぼすしか無さそうです。

だらしないので出世できない

独身者のビジネス上の信頼感は、既婚者より下に見られがちです。支える者も守るべき者もいないという立場は、会社や業務に対する忠誠心が劣り、嫌なことがあれば投げ出してしまうのではと思われるのでしょう。これはビジネス社会における関係性の問題で、本人の実力を測ることとは観点が違います。社の内外から認められているエース級の人材は別として、普通の人にとってこれはハンデです。まして汚れた靴を履いているようではなおさらでしょう。実利の上で代表的な独身のデメリットでしょう。

老後はますます孤独に

かつてラジオ番組では相談コーナーがよくありました。永六輔の子供電話相談室をはじめ、本格的な人生相談もやっていました。筆者はこうした番組のリスナーではありません。しかし偶然に聞いた1つの相談は、今も脳裏に焼き付いています。それは70歳の結婚したことのない女性からの相談でした。90歳の母が死に全くの孤独になってしまった。どうやって生きていけばいいかわからない、という内容でした。これは40~50代と思われるラジオ・パーソナリティなんぞにとても答えられるような軽い内容ではありません。初めて独身のままでいることのリスクを思い知らされた瞬間でした。何となく独身でいる人たちにはぜひ考えてもらいたいと思います。